仕返しを考えていたあの日あの時の心境記録

仕返しをしたい、それも、私だと分からないような時と状況で、かなり卑怯なやりかたで、蔭から、相手が困り果てる様子を眺めたい、

―――そんな気持ちになったことが、多々ある。

私の中に生じた悪意の事例を、あまたある中から、近年の例をひとつ、自戒の為に、個人情報に配慮しながら記録しておく。
今は昔――。
とある年、とある場所で、とある派遣会社から、とある派遣先に赴くように言われ
私はそこに向かった。
事前に何をするのかは簡単な、ごく簡単な、ざっくりとした説明があった。
初心者OKとの仕事だったので応募したが、それにしても私はある程度の予習をしておくべきだった。
派遣元の、とある人から、ある人と一緒に、とある作業に取り組むように指示され、私はその人と作業していた。
ある時間になって、その現場の責任者が来た。
派遣元の、とある人の指示通りに作業していたと自分を信じていたが、現場の責任者は、頭ごなしにそれを否定して罵倒してきた。
その時に私は、誰の何が正しく、何を優先すべきか、自分の未熟さゆえに、大変混乱し、精一杯やっていたはずなのにという頭もあって
つい、口答えをしてしまった。
するとその現場の責任者を更に怒らせてしまった。「お前、名前は何だ。もういいよ、帰れ!」と言われた。
ここで私はなんとしても平謝りに謝罪すべきだったのだ。しかし何も言えないでいた。現場の責任者はその場を去った。
要するに私は、行いの悪さから派遣先からクビになった派遣社員である。
もうその日の仕事をさせてもらえない。
頭の中が真っ白になった。
時給がどうこうじゃなく、私は派遣元の信用にまで傷をつけてしまった。
派遣元に連絡して指示を待った。その間の数時間。昼休みはとうに過ぎていたけれど、何も口にせず夕方まで現地に待機していた。
結局、私のしでかした不始末は派遣元が責任を負う形になってしまった。
以来、二度とその派遣元では就業していない。どんな顔をしていいかもわからない。
それまで遅刻も無断欠席も大きなミスもなかったのに、そこで受けた最後の仕事が、あんなことになるなんてと思った。

誰を恨む必要もなく、ただ私が社会人としてまずかっただけなのに、
その日帰り道、朝のことを思い出して泣いていた。
夕食の準備も万端、自分の体調も最新の注意を払って整え、地図と路線検索のプリントアウトを握りしめ、集合時刻の20分前には到着するように早起きし、
初めての現場だけれども言われたことをしっかりメモして頑張ろうと思っていた
そんな数時間前のことを思い出して、自分がとてもカワイソウな人間に思えた。
その日の時給がどうなるかなんてことは、むしろどうでもよかった。

そこから私は、自分の中に「逆恨み」という感情がどんどん芽生えて伸びていくのを見てた。
どんなことをすれば、あの責任者の野郎を困らせることができるだろう。
正々堂々と訴えるなどということはできない。だって私に非があるんだから。だけど、あんな言い方しなくたっていいじゃないか?
こちらのおかれた状況心境を、あの責任者は、思い遺す義務など、持ってはいなかった。だから何も違法じゃない相手の仕打ちを、まともなやりかたで批難することなどできない、
それは重々承知してる。
だから
ストーカーみたいにずっと探って、あの責任者のプライベイトを掴み、ずっとずっと忘れたころに、あの現場にあることないことデマとか書いて撒いてしまえばどうなるだろう?
時が経って、ずっと経って、あの責任者が私の顔など忘れたような頃に、それを仕掛けると、どうなるだろう?

と、ここまで考えている間、少し気持ちが落ち着いたのを、覚えている。
もちろん実行はしなかったし、これからもきっとしない。自分がしかける仕返しを受ける責任者のことを想像するだけで、もう満足したから。


※こんな気持ちになったときにいつも思い出す愛読記事(まつたけさんのブログの中でも特に折に触れ思い出すもの)を紹介。→「匿名で嘘やデマを書かれる悔しさは異常 - まつたけのブログ」 https://t.co/zNaHAtVe3k


※去年の春、フジテレビ「ようこそ、わが家へ」というドラマが放送され、主演の相葉さんが好きな私は欠かさず観ていたわけだけれど
そこに出てくる「名無しさん」の卑怯さを、とても他人事とは思えない。
でもその卑怯者のことをとても憎んでいる。どうして、誰も得しないのに、人に対して攻撃したいと思うのだろうか?
誰からいつ狙われるかわからないということが、人をどれほど不安にし、その人の生活や人生が壊れていくのかという
つらい気持ちに途中、しんどかったけれど、最後はその戦いに勝ち抜いたあの家族のこと、いつまでも心の中に住まわせている。